中小企業診断士試験の合格率を知って、学習計画を練ろう!
中小企業診断士は国家資格なので、試験も難しく難関試験の一つとされています。
中小企業診断士を目指して勉強している人やこれから受験を目指す人にとっては、試験の難易度や合格率はどの位なのかが気になるところです。
また、学習計画を立てる場合も事前に合格率を知って、計画に反映させていくとが大切になってきます。
以下では、中小企業診断士試験の合格率に関しての情報をお伝えします。
●2020年中小企業診断士試験の合格率
・2020年中小企業診断士試験1次試験の合格率
2020年(令和2年度)中小企業診断士第1次試験の試験の結果は、次の通りです。
・申込者数 :20,169人
・受験者数(A):11,785人
・合格者数(B):5,005人
・合格率(B/A):42.5%
最近の1次試験の合格率は、20%前後を推移してきていますが、2020年はずば抜けて大きく約2倍の42.5%になっているのが特徴です。
2020年はコロナ禍で在宅勤務が増えましたので、試験勉強の時間確保がやり易く学習に集中できたこともあるかもしれませんが、設問の設計方針が2019年から少し変わってきているからかもしれません。
でも、一方では受験の申し込みをしたのにも関わらず、受験率は約58%で約8,400人も受験を諦めています。
例年の傾向ですと、受験を諦めた方は5,000~6,000人ですので、今回はこれより多い傾向になっています。
これは、受験日程の変更や受験者の感染とそれによる家族への感染リスクを考慮して受験自粛をしたなどが理由として考えられます。
また、中小企業診断士の1次試験の範囲は7科目あり、学習範囲が広いため全てを学ぶには大変な時間がかかるということにも関係しています。
限られた時間の中で、いかに効率的に学習していくかを考えて学習計画を練る必要があります。
・2020年中小企業診断士試験2次試験の合格率
2020年(令和2年度)中小企業診断士第2次試験の試験の結果は、次の通りです。
・申込者数 :7,082人
・受験者数(A):6,388人
・合格者数(B):1,174人
・合格率(B/A):18.4%
2次試験の合格率は、18.4%です。
最近の2次試験の合格率は、約19%前後を一定的に推移していますので、例年と同じといえます。
1次試験と違って合格率が上がっていないのは、相対評価(競争試験)だからと思います。
2次試験の申込者数は、毎年5,000人程度で推移してきていますが、2020年は約7,000人となっており、1次試験の合格率が上がった分増えているということができます。
また、1次試験の合格者が5,005人にも関わらず、2次試験の申込者数が7,082人ということは、その差の2,077人が2次試験に再挑戦しているということが分かります。
一発合格を目指す方は、2~3年間2次試験の勉強をしてきた人とも競争することになり厳しくなります。
なので、2次試験は1次試験とは違った対策をとる必要があることが見えてきます。
・2020年中小企業診断士試験の科目別合格率
中小企業診断士の1次試験は7科目ありますが、科目別によっても難易度が違います。
2020年の試験結果から科目を合格率が低かった順に並べる次のようになります。
・運営管理:9.4%
・財務・会計:10.8%
・経営法務:12.0%
・中小企業経営・中小企業政策:16.4%
・企業経営理論:19.4%
・経済学・経済政策:23.5%
・経営情報システム:28.7%
科目 | 科目受験者数 | 科目合格者数 | 科目合格率 |
運営管理 | 9,745 | 912 | 9.4% |
財務・会計 | 10,738 | 1,161 | 10.8% |
経営法務 | 1,1568 | 1,390 | 12.0% |
中小企業経営・中小企業政策 | 11,614 | 1,905 | 16.4% |
企業経営理論 | 11,462 | 2,226 | 19.4% |
経済学・経済政策 | 9,849 | 2,311 | 23.5% |
経営情報システム | 9,985 | 2,868 | 28.7% |
注)「科目合格者数」には「試験合格者数」は含みません。
(出典:一般社団法人中小企業診断協会)
以上より、2020年は、「経営情報システム」が一番解きやすく、「運営管理」が一番難しかったということができますが、毎年このような傾向であるとは限りません。
年によってどの位変動しているかについては、「科目別合格率推移」の章を参照ください。
●中小企業診断試験の合格率推移
・中小企業診断士1次試験の合格率推移
中小企業診断士1次試験の過去5年間の合格率推移を下図に示します。
内訳 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 |
申込者数 | 4,539 | 4,453 | 4,978 | 6,161 | 7,082 |
受験者数 | 4,394 | 4,279 | 4,812 | 5,954 | 6,388 |
合格者数 | 842 | 828 | 905 | 1,088 | 1,174 |
合格率 | 19.2% | 19.4% | 18.8% | 18.3% | 18.4% |
最近の中小企業診断士1次試験の過去5年間の合格率推移は、2018年までは20%前後となっていましたが、2019年は30.2%、2020年は42.5%と上昇傾向になっています。
・中小企業診断士2次試験の合格率推移
中小企業診断士2次試験の過去5年間の合格率推移を下図に示します。
内訳 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 |
申込者数 | 19,444 | 20,118 | 20,116 | 21,163 | 20,169 |
受験者数 | 13,605 | 14,343 | 13,773 | 14,691 | 11,785 |
合格者数 | 2,404 | 3,106 | 3,236 | 4,444 | 5,005 |
合格率 | 17.7% | 21.7% | 23.5% | 30.2% | 42.5% |
(出典:一般社団法人中小企業診断協会)
このグラフから中小企業診断士の2次試験の合格率は、年度毎に大きく変動しないで19%前後を一定に推移しているといえます。
2次試験が相対評価と言われていますので、当然の結果かもしれません。
●中小企業診断士試験の科目別合格率
中小企業診断士1次試験の科目別合格率を以下のグラフに示します。
なお、「科目合格者数」には「試験合格者数」は含みません。
・「経済学・経済政策」の合格率
・「財務・会計」の合格率
・「企業経営理論」の合格率
・「運営管理」の合格率
・「経営法務」の合格率
・「経営情報システム」の合格率
・「中小企業経営・中小企業政策」の合格率
(出典:一般社団法人中小企業診断協会)
以上のグラフから、科目別の合格率は年度によってかなりばらついていることが分かります。
難しかった年は1桁で合格率が数%になるときもあれば、やさしかった年は合格率が30%位になることもあります。
傾向としては、皆が点数を取れなく合格率が1桁になった科目は、次の年に少しやさしい設問になり、皆は高い点数を取った科目は、次の年は少し難しくなっているように思われます。
同じ傾向が続かないように設問が作られているようですので、受験者の方は各科目の合格率の傾向を把握してから学習することをおすすめします。
ただ、科目合格率には試験に合格した人は含んでいませんので、その分は割り引いて考えていいと思いますが、傾向としては合っていると思います。
●中小企業診断士試験の合格率を知って、学習計画を練ることのまとめ
中小企業診断士試験においても、出題の難しさやそれに伴う合格率を知って、それに対して対策を立てて勉強することは例外ではありません。
合格率についてまとめると次のようになります。
★中小企業診断士1次試験の合格率は、2018年までは20%前後で推移している、2019~2020年は上昇傾向になっている。
★中小企業診断士2次試験の合格率は、毎年19%前後を一定に推移している。
★科目別合格率は、同じ科目でも年度によって数%のときもあれば、30%程度になるときもあり変動が大きい。
★対策としては、しっかりした学習計画が練られている通信講座や通学で効率的に学習するべき。
1次試験は7科目という広範囲の中から出題されるので、全てを理解して覚えるには大変な時間がかかります。
なので、合格率なども加味して効率的な学習計画を練る必要があります。
また、2次試験は筆記・口述試験なので採点基準が明らかではありません。
1次試験のように暗記を主体にした学習方法とは、違う対策が必要になってきます。
そのためには、資格予備校に通学するとか通信講座を使って、効率的・効果的な学習方法が必要です。