中小企業診断士試験を通信講座を使って勉強しようと調査すると必ず「診断士ゼミナール」か「スタディングの中小企業診断士通信講座」の二者択一にぶつかります。
2社とも大手資格予備校で学ぶよりも安い費用で学べ、通学や通勤時間などのすき間時間にスマホを使って効率的に学ぶことができる通信講座です。
中小企業診断士の試験勉強を安い費用で学びたい、「診断士ゼミナール」と「スタディング」のどちらがいいのだろうと判断に迷っている方のために、2社の中小企業診断士通信講座を徹底的に調査した筆者が比較解説していきます。
●中小企業診断士通信講座、診断士ゼミナールとスタディングの対象コースと比較項目
診断士ゼミナールとスタディングの中小企業診断士通信講座を比較するには、同等のコース同士を対比して比較しなければ意味がないので、おのおののコースの概要から始めます。
<診断士ゼミナールのコースと概要>
診断士ゼミナールのコースは非常にシンプルで、1次、2次の合格を目指す場合のコースは、次のコースだけです。
【1次2次試験プレミアムフルコース】
1次試験に必要な7科目と2次試験に必要な4事例すべてを学ぶことができます。
<スタディングの中小企業診断士通信講座のコースと概要>
スタディングの中小企業診断士通信講座のコースは、少し複雑でキメ細かにコースが選べ全部で7コースの中から選べるようになっています。
診断士ゼミナールの講座と比較する対象となる講座は、次の2つとなります。
【中小企業診断士 1次2次合格コース[2021+2022年度試験対応]】
・1次2次合格コース スタンダードコース
このコースは学習期間として2年を視野に入れているもので、2021年度版講座と今後リリースされる2022年度版講座まで受講できます。
基礎から合格レベルに短期間で到達したい方向けのコースです。
又は
【教育訓練給付金制度(一般)対象講座 中小企業診断士 1次2次合格コース スタンダードコース[2021年度試験対応]】
このコースは1年でストレート合格を目指す方のためのコースです。
働いている方で雇用保険の条件を満たしていれば、修了した際に修了までに支払った学費の20%がハローワークから給付されます。
<診断士ゼミナールとスタディングの比較項目>
診断士ゼミナールとスタディングの中小企業診断士通信講座を評価するに当たって、費用、教材の内容、教材購入後のサービス等に焦点を当てどちらがよりベストなのかを比較していきます。
具体的には、次の項目で比較していきます。
・費用(受講料)
・教材(テキスト、動画講義、問題集)
・再受講制度
・質問対応
・合格祝い金
・すき間時間対応
・2次試験対策
●診断ゼミナールとスタディングの費用(受講料)の比較
診断士ゼミナールは、他社と比べ安い費用で受講できることで定評があります。
具体的なコースで両者を比較してみましょう
項目 |
診断士ゼミナール 【1次2次試験プレミアムフルコース】 |
スタディング 1次2次合格コース[2021年度試験対応] |
費用(受講料) | 54,780円(税込み) | 69,190円(税込み) |
もう一つのコース、教育訓練給付金制度(一般)対象講座でも比較してみます。
項目 |
診断士ゼミナール 【1次2次試験プレミアムフルコース】 |
スタディング 【教育訓練給付金制度(一般)対象講座】 |
費用(受講料) | 54,780円(税込み) | 63,690円(税込み) |
診断士セミナールの1次2次試験対応の「1次2次試験プレミアムフルコース」の費用は、54,780円(税込み)です。
この費用で後で述べる再受講制度(無料で3年間延長可能)、質問対応は無制限なのですからアフターサービスも充実しています。
教材の品質についても心配は要りません。
この教材で中小企業診断士試験に合格した方はたくさんいます。
これに対して、スタディングの1次2次試験対応の「1次2次合格コース[2021+2022年度試験対応]スタンダードコース」の費用は、69,190円(税込み)です。
もう一つのスタディングの【教育訓練給付金制度(一般)対象講座 中小企業診断士 1次2次合格コーススタンダードコース[2021年度試験対応]】と比較してみます。
残念ながら診断士ゼミナールは、教育訓練給付制度対象の講座はありませんので、教育訓練給付制度対象講座同士での比較ではありませんが、スタディングの費用は、63,690円(税込み)です。
教育訓練給付金は、受講が終わった段階で申請すると支払った学費の20%がハローワークから給付されるので、63,690円×0.8で5,0952円となり講座の受講料だけみるとスタディングの方が実質若干安くなります。
でも、こちらのコースはストレート合格を目指した1年間コースなので、再受講の際は追加料金が必要となってきます。
●診断士ゼミナールとスタディングの教材の比較
診断士ゼミナール、スタディングの中小企業診断士通信講座とも教材は、大きく分類してテキスト、問題集・過去問、動画講義から構成されています。
・テキストの比較
項目 | 標準 | オプション | オプション費用 | 印刷 |
診断士ゼミナール | PDFファイル | 紙テキスト(A4サイズ) | 20,350円(税込み) | フルカラー |
スタディング | PDFファイル | 紙テキスト(A5サイズ) | 15,180円(税込み) | モノクロ |
診断士ゼミナール、スタディングともテキスト(問題集・過去問を含む)は、DPFファイルが標準となっています。
普段からタブレットやスマホを使ってペーパーレスを徹底している方は、紙テキストは要らないかもしれませんが、そうでない方はオプションの紙テキストを利用することをおすすめします。
オプション費用はそれなりにかかりますが、自分で印刷することは考えない方が無難です。
膨大なページがあり、紙代、インク代、手間を考えると購入した方が得になります。
診断士ゼミナールでは、紙テキストをオプションで付けたときは、1次試験・2次試験講座のセットで20,350円(税込み)です。
通信講座の合計費用は、54,780円+20,350円=75,130円(税込み)となります。
診断士ゼミナールの紙テキストの大きさは、A4サイズです。
一方、スタディングでは、紙テキストをオプションで付けたときは、1次試験講座と学習マップのセットで15,180円(税込み)です。
なお、2次講座は紙テキストになっていません。
通信講座の合計費用は、69,190円+15,180円=84,370円(税込み)となります。
教育訓練給付金制度対象のコースを選び、紙テキストをオプションで付けたときの講座の合計費用は、63,690円+15,180円=78,870円(税込み)となり、診断士ゼミナールの費用に近づきますが、それでも診断士ゼミナールの方がやや安くなっています。
スタディングの紙テキストのサイズはA5サイズです。
また、診断士のテキストはフルカラーでイラストや図表を多く取り入れているので、覚えやすく・読みやすいのが特徴です。
スタディングではモノクロですし、大手予備校のTAC・LECなどのテキストは2色カラーですので、診断士ゼミナールではテキストが充実しています。
スタディングの教材で特筆すべき点は「学習マップ」という補助教材が付いていることです。
学習マップは、一般に「マインドマップ」とも呼ばれるもので、知識を体系的に整理し、繰り返し復習することができる学習ツールです。
学習ツールはうまく使いこなせる方にとっては強い味方になりますが、ツールは苦手という方もいますので、使用に当たっては良く吟味する必要があります。
・問題集・過去問の比較
7科目についての知識のインプットだけでは、知識が定着しているのか又は理解できているのかが分かりませんので、問題集によってアウトプットの練習をするのが必須となります。
項目 | 問題集 | 過去問 |
診断士ゼミナール | 1次問題演習講座 | 1次過去問題集(5年分) |
スタディング | スマート問題集 |
過去問セレクト講座 1次試験年度別過去問題集(3年分) |
診断士ゼミナールでは、テキストと動画による1次問題演習講座と5年分の過去問題集がついています。
スタディングではこれに相当するものとして、過去問セレクト講座と3年分の過去問題集があり、その他に単元ごとにオンラインで行うスマート問題集があります。
スタディングの過去問題集は3年分で診断士ゼミナールの5年分より少ないですが、オンラインでいろいろなやり取りができる機能を備えているのが優れています。
例えば、問題演習のモードを選ぶことができ、制限時間に問題を解く練習ができたり、前回間違えた問題だけを解くことなどが可能です。
・動画講義の比較
項目 | 総講義時間 | 配信方法 |
診断士ゼミナール | 270時間 | ダウンロード形式 |
スタディング | 78時間+2次講座音声33時間 | ストリーミング/ダウンロード形式 |
診断士ゼミナール、スタディングともスマホ対応が可能な動画講義が標準となっています。
診断士ゼミナールの動画教材の総講義時間は約270時間にも及び、これはスタディングの通信講座と比較しても圧倒的に長いです。
これはテキストの内容をできるだけ丁寧に説明しようとする講義方針だと思います。
ことため、テキストはできるだけ簡略化して書かれ、図表が多用されています。
スタディングの講義時間が短くなっているのは、60点合格主義で徹底的に出題範囲を絞り必要最低限の範囲を最短時間で学習することを考え方としているためです。
講義動画の時間が短い分テキストの文字数は多くなっており、スタディングはテキストだけでも分かりやすくなっています。
いわゆる学習コンセプトの違いによるものですので、一概にどちらがいいとはいえません。
どちらの方法が自分の学習法に合っているのかをそれぞれの講義を試聴して選ぶことをおすすめします。
私としては丁寧に説明してもらった方が徳した感じがしています。
動画講義の場合は、どんな配信方法を取っているかも選ぶ時にキーになります。
動画講義をスマホで視聴する場合は、ストリーミング形式だけですと、使用するスマホの通信容量の制限によって途中で聞けなくなることもあります。
また、格安SIMを使用している場合などは混雑時に通信速度が気になることもあります。
その点、診断士ゼミナールの動画講義はダウンロード形式なので一度ダウンロードしておけば、通信容量の制限も気になりませんし、電波が届きにくいところでも全く問題がありません。
スタディングは以前はストリーミング形式のみでしたが、ios版は2019年から、Android版は2021年から改善されてスマホに「STUDYingアプリ」入れるとダウンロード形式も可能となり、どんな場所でも快適に学習できるようになりました。
なので、配信方法については、どちらもダウンロードが可能となっています。
・再受講制度の比較
項目 | 内容 |
診断士ゼミナール | 3年間受講延長無料 |
スタディング | 更新版を再購入(21,978円(税込み)) |
中小企業診断士の試験は一発合格が利用ですが、比較的難易度が高く一発での合格率は4%程度と言われています。
中小企業診断士試験の合格率の詳細については、こちらの記事も参考になります。
なので、自信のある方以外は2~3年の学習計画をたててしっかり学習するというのも戦略です。
この場合、助かるのが再受講制度です。
診断士ゼミナールでは、1年分の料金で3年間最新の講義を無料で受講できる「3年間受講延長無料制度」があるので、安心して2~3年の学習計画が立てられます。
スタディングでは、「1次2次合格コース[2021+2022年度試験対応]スタンダードコース」をセレクトすると2年間計画で2回の中小企業診断士試験を受けることができます。
もう一つの【教育訓練給付金制度(一般)対象講座 中小企業診断士 1次2次合格コーススタンダードコース[2021年度試験対応]】をセレクトした場合は、翌年度に再チャレンジする場合は、更新版の教材を有料で購入することになります。
以上のように、診断士ゼミナールの3年間受講延長無料制度はびっくりするような制度なので、長期の学習計画をたてている方に向いていると思います。
・質問対応の比較
項目 | 内容 |
診断士ゼミナール | 質問対応は無料で無制限 |
スタディング | Q&Aチケット購入(1問1,210円(税込み)) |
中小企業診断士の学習を進めていくとちょっとした不明点や疑問点などを質問したくなるものですが、診断士ゼミナールでは無料で何件でも質問に対応してもらえます。
一方、スタディングは質問対応が有料で、「学習Q&Aチケット」を購入(1問1,210円(税込み))して質問します。
診断士ゼミナールの質問対応が無料で回数無制限というのも大きな魅力です。
・合格祝い金制度の比較
首尾よく中小企業診断士試験に合格した場合は、合格祝い金がもらえる制度です。
項目 | 内容 |
診断士ゼミナール | 最大30,000円 |
スタディング | 10,000円 |
診断士セミナールの場合は、2021年度試験まで(キャンペーン中のため、2023年度試験までに)1次・2次試験に合格すれば、最大で30,000円合格お祝い金をもらえます。
だだし、合格体験記と合格証の提出が必要です。
スタディングの場合は、2021年度試験対応講座を受講の方は2021年度の1次・2次試験に合格、2021+2022年度試験対応版講座をご受講の方は、2021年度、または2022年度の1次・2次試験に合格すれば10,000円の合格お祝い金をもらえます。
こちらも、アンケート及び合格体験談の提出が必要となります。
合格が前提の制度ですが、診断士ゼミナールでは、
実質54,780円-30,000円=24,780円(税込み)で通信講座を受講できることになります。
同様にスタディングでは、
2021+2022年度試験対応版講座:69,190円-10,000円=59,190円(税込み)教育訓練給付金付き20121年度試験対応講座:
20%の給付金がもらえるので、63,690円×0.8=50,952円となり、ここからさらに10,000円が引かれるので40,952円となります。
この場合でも診断士ゼミナールの方がまだ安いことになります。
・すき間時間対応
いままで説明してきたように、診断士ゼミナール、スタディングとも教材をスマホにいれて視聴できますので、通勤・通学の時間帯や昼休みなどのすき間時間を利用して学習することができます。
だだ、すき間時間でもオンラインで接続してタイムリーに効率的に学ぶことに関して、それぞれ考え方が違います。
診断士ゼミナールは、必要な教材(データ)をバッチ処理的にダウンロードしておき、スマホという端末機器の中で自由自在に使うという考え方です。
一方、スタディングはオンラインで常時接続できるようになっているので、問題演習では間違えたところだけ復習できたり、受講者全体の平均点をリアルタイムで知ることができたりします。
バッチ処理に対比させるなら、スタディングはオンライン処理がされているということです。
この点は、診断士ゼミナールにはない大きな特徴ですが、ITを活用したこうしたシステムを使いこなすのは苦手という方も少なくないと思うので、自分が使いこなせそうと思ったところに重点を置いて選ぶのがよいと思います。
・2次試験対策を比較
<診断士ゼミナール>
診断士ゼミナールの2次試験対策の学習は、次の2つの講座から成り立っています。
・【2次基礎講座(テキスト+動画講義)】
全5回の講義で2次試験問題の「読み方」「考え方」「書き方」を学びます。
合格テクニックの基本として、「答案作成のルール」や「論理的思考」、「問題与件文の解読方法」などを身につけます。
・【2次事例別講座(テキスト+動画講義)】
全13回の講義(事例Ⅰ:3回、事例Ⅱ:3回、事例Ⅲ:3回、事例Ⅳ:4回)で、過去問題集やオリジナル演習問題を通じて「ドメインの再定義方法」や「二次で使える具体的なアイディア」、「答案作成テクニック」などを学びます。
<スタディング>
スタディングの中小企業診断士通信講座の2次試験対策の学習は、次の2つの講座から成り立っています。
・【2次合格メソッド講座(テキスト+動画講義)】
事例文、問題文からロジックをベースにした論理的な解答を作成するための「解答作成のプロセス(手順)」を習得します。
習得に当たっては、学習ツールである「ロジックマップ」を使い、与件文・問題文から解答を作成するまでのロジックを可視化して明確にします。
・【2次基礎講座(ロジックマップ+テキスト+音声講義)】
2次試験の過去問を使い、解答の作成方法を習得することができます。
過去問を中心にロジックマップを使って何度も解答作成を練習し、模範的なロジックが身につくようになります。
以上のように、診断士ゼミナール、スタディングとも事例文・問題文を読み解いて、いかに解答を作成するかという手順を習得し、過去問を使って何回も繰り返して練習することが主体の学習になっています。
2次試験対応の両者の違いはそう変わりはないと思いますが、スタディングでは「ロジックマップ」を使って見える化しているのが特徴です。
●診断士ゼミナールとスタディングの口コミ
どちらの中小企業診断士の通信講座を選んだらよいか迷うときは、口コミを参照すると段々分かってきます。
診断士ゼミナールの口コミについては、こちらの記事をご覧ください。
cyushokigyoshindanshi.hatenablog.com
スタディングの中小企業診断士通信講座の口コミについては、こちらの記事をご覧ください。
cyushokigyoshindanshi.hatenablog.com
●診断士ゼミナールとスタディングの中小企業診断士通信講座の比較まとめ
以上のようにいろいろな選定ポイントごとに比較しても、それぞれ長所・短所といえるようなところがあり、両者はなかなか優劣をつけがたい通信講座です。
選ぶ際にはどの選定ポイントに重点をおくかで決まってくるものと思われます。
<診断士ゼミナールをおすすめの人>
・できるだけ安い価格でかつ、合格のための内容を徹底的に充実させている講座がいい。
・動画講義はダウンロード形式の方が使いやすい。
・2~3年計画での資格取得を目指しているので3年間受講延長無料が魅力
<スタディングをおすすめの人>
・学習マップなどの学習ツールを使いこなして効率的に学習したい。
・スマホをオンラインで活用して、リアルタイムでスタディングのシステムと情報交換したい。
・スマート問題集、過去問をオンラインですき間時間にできるのが魅力
その他にも両方とも動画講義が主体で大きな時間を占めるので、講師の相性も含めてどちらの雰囲気の講義がいいのかも判断の要素になるかもしれません。
無料で見られるサンプルの動画講義や教材も気軽に見ることができますので、是非試してみてから決めることをおすすめします。
VS.