定年後の独立開業、中小企業診断士の資格を取るために検討すべきことは?
企業に勤めている方は50歳を過ぎると、定年後の人生をどのようにするかを考えなくてはいけなくなってきます。
この年齢から定年までの期間は、サラリーマン生活の中で一番給料が多い時期だと思いますが、これに甘んじていてはいけないことがやがて気付くはずです。
もちろん、優秀な方で取締役など経営側の役職につかれている方はそんな心配はいらないかもしてませんが、そうでない方は定年が待っています。
定年を過ぎて、65歳まで働ける雇用延長制度がありますが、60歳以降は再雇用となるので賃金の大幅なダウンは避けられません。
会社に勤めている間、上部の役職や多額の収入を得ていたからといって、定年後も輝くとはいえなのです。
長い会社員生活で培った経験や知識、能力を活かして資格習得しておけば、定年後の独立開業を目指すことも可能になってきます。
そのためにはどんな資格が定年後の独立開業に役立つのか調べてみました。
●定年後に役立つ資格にはどのようなものがあるの
一口に資格といっても、国家資格、公的資格、民間資格があり、いろいろな分野での資格がたくさんあります。
定年後の独立・開業を目指すならどの資格でもよいわけではなく、難易度が高く簡単には取得できない資格、社会的にも広く認知されて信用度が高い資格を選ぶ必要があります。
資格を選ぶ視点としては、自分が経験した仕事の内容が活かせて専門性が高いものということができます。
・人事や労務管理に関する業務に関わってきた方
人事や労務管理に関する業務に関わってきた方には、社会保険労務士やFP(ファイナンシャルプランナー)などが候補の資格といえます。
・総務や法務に関する業務に関わってきた方
総務や法務に関する部署での経験がある方には、キャリアコンサルタントや社会保険労務士、行政書士などが専門性の高い資格といえます。
・技術系の経験を経てきた方
技術系の仕事を経験してきた方には、技術士、中でも電気関係に強いという方には第三種電気主任技術者の試験なども専門性が高く技術系の中では人気が高い資格です。
・経営企画、監査に関する業務に関わってきた方
経営企画や監査に関する業務に関わってきた方には、ISO9001審査員、中小企業診断士などが高い専門性のある資格といえます。
以上のように専門性の高い資格は、各分野でたくさんあることが分かります。
今回は専門性の高い資格の中で、最近企業でのキャリアがある方に人気のある中小企業診断士について、さらに詳しくみていきたいと思います。
●企業勤めの中高年に中小企業診断士が人気の理由
中小企業診断士の資格を取得して在職中のキャリアアップ、そして定年後の独立などでの有効活用を狙っている人が増加しています。
平成30年の1次試験受験者数は13,773人に対し、令和元年は14,691人と増加の傾向です。
ちなみに、平成20年では、13,564人ですので増加傾向になっています。
(出典:一般社団法人中小企業診断協会)
中小企業診断士はなぜ現在人気の資格になっているのでしょうか?
理由はいろいろ考えられますが、中小企業診断士は、経営コンサルタント唯一の国家資格であることが挙げられます。
中小企業診断士の資格を得ることで、自分自身の価値も高まり、社会にも通用すると考えるからだと思います。
また、国家資格であること以外にも人気の秘密がありそうです。
定年後は、再雇用で働くよりは、コンサルティング会社に転職したり、コンサルタントとして独立開業するなど、再就職の活動範囲が広くなることも人気の理由と思います。
その他にも、定年後とは直接関係ありませんが、企業勤めの人が資格を取得すると職場で活用できるということもあります。
●中小企業診断士はどんな仕事をするのか
中小企業診断士の仕事内容は、独立開業する場合と現在努める職場での企業内診断士とでは大分異なってきます。
この記事の趣旨からいくと、資格を取って独立開業をした場合ですので、独立開業での仕事内容ということになります。
中小企業診断士として独立開業した場合は、複数の企業と契約を結んで、経営上の課題について相談にのり、解決策を提示するといったコンサルティング業務がメインになります。
また、顧客によっては経営者向けのセミナーの講師だったり、経営に関する執筆だったりすることもあります。
中企業診断士のこれらの仕事は、ほんの一部です。
例えば、税理士の仕事であれば、税務業務というくくりで仕事の内容を書けますが、中小企業診断士の仕事は企業経営の全ての範囲に及ぶため仕事の内容を分類して書くことは結構難しいです。
製造業では、新商品の開発、製造設備の革新、在庫管理、品質管理、物流管理、販路拡大、販売促進の問題などが視野に入ります。
このように業種によって、対象となる問題点が異なるため、今まで自分が経験してきた範囲をコンサルティングの得意分野として育て上げることも、独立開業を成功させる戦略となります。
中小企業診断士からのアンケートによるコンサルティング業務の上位3には次のようなものです。
1.経営革新・経営改善支援
2.販路拡大、販促支援
3.ベンチャー・創業支援
(出典:平成30年3月 関西外国語大学 川村悟「企業内診断士の実態調査」)
中小企業診断士の仕事の詳細については、こちらの記事も参考になります。
cyushokigyoshindanshi.hatenablog.com
●独立開業した場合の中小企業診断士の報酬はどのくらい?
独立開業した場合は、中小企業診断士はどのくらいの報酬が見込めるのかはおおいに気になるところです。
中小企業診断士の場合は、独立開業しても司法書士や行政書士のような独占業務ではないので、仕事が舞い込んでくることはありません。
今までの人脈や人脈を開拓しながら営業活動を行い、コンサルティングの対象となる中小企業と顧問契約をして仕事をもらうようになります。
顧問契約(民間業務)した場合の報酬は、データが少し古くなりますが1ヶ月5.1日出向いて平均170.4千円となっています。
順調営業活動が進み、5社に対し顧問契約すると1ヶ月当たりの報酬は852千円という計算になります。
中小企業診断士として独立開業した場合のコンサルティング報酬は、個人の力量によってかなりばらついています。
コンサルタントの年間売り上げで最も構成割合の高いランクは「501~800万円以内」で、その構成割合は19.9%となっています。
このランクより低い報酬の構成割合は、27.2%。このランクより高い報酬の構成割合は52.9%となっており、成功している方は結構稼いでいることが分かります。
(出典:中小企業診断士協会ホームページ、データでみる中小企業診断士2016年版)
中小企業診断士の資格を取っても最初の内は、実績もないので企業との顧問契約を結ぶことは簡単ではありません。
最初の内は、自分が活動する都道府県の中小企業診断士協会に登録し、そこから商工会議所や自治体などからの仕事を受注して、中小企業診断士のスキルを高めていく人も少なくありません。
定年後の独立開業については、こちらの記事も参考になります。
cyushokigyoshindanshi.hatenablog.com
●中小企業診断士の試験概要、難易度と合格率
・中小企業診断士の試験概要
中小企業診断士の試験は、学歴や年齢・性別を問わず誰でも受験することができます。
試験には、1次試験、2次(筆記・口述)試験があります。
試験に合格した後は、実務補修・実務従事というステップがあり、全てクリアできた後中小企業診断士として登録することができます。
<中小企業診断士第1次試験>
マークシート形式の試験で、受験科目は7科目あり全部の科目を3年以内に合格できれば、2次試験が受けられます。
<中小企業診断士第2次試験>
中小企業診断士の2次試験は、筆記試験と口述試験とで構成されています。
筆記試験の科目は、中小企業の診断実務に関する事例で4科目あります。
各設問に対して、15~200文字程度の記述式で解答します。
口述試験は、10分程度の面接です。
もう少し詳しい情報を知りたい場合は、こちらの記事が参考になります
cyushokigyoshindanshi.hatenablog.com
・中小企業診断士試験の難易度と合格率
中小企業診断士試験は、長期にわたる勉強が必要な難関資格といえます。
合格率は年度によっても異なりますが、1次試験の合格率は20%強でおよそ5人に1人は合格しています。
<1次試験の合格率>
令和元年:30.2%
平成30年:23.5%
平成29年:21.7%
*令和元年はずば抜けて合格率が高くなっています。
2次試験の合格率は、20%前後です。
筆記試験に合格すれば、口述試験は99%以上の合格率となっています。
<2次試験の合格率>
令和元年:18.3%
平成30年:18.8%
平成29年:19.4%
(データの出典:一般社団法人中小企業診断士協会)
以上より、中小企業診断士試験の難易度はかなり高いということができます。
中小企業診断士試験の合格率についての詳細は、こちらの記事が参考になります。
cyushokigyoshindanshi.hatenablog.com
●中小企業診断士試験に合格するための学習方法
・学習方法は、独学・通学・通信講座のどれがいい?
前節でも説明したように、中小企業診断士の試験は試験範囲が広く難易度も高いため、自分にあった学習方法を定め長期的にしっかり学んでいくことが大切です。
一般的に考えると、義務教育や高校・大学などで学んできたように専門の知識を持った教師や講師の授業を受けた方が効率的に学べるし、分からないところがあれば質問できるので通学で学んだ方がベストなのは確かです。
でも、働きながら中小企業診断士の資格取得を目指している方にとっては、資格予備校などに通って学ぶことはかなりハードルが高いといえます。
同感される方は、やはり次のような理由からですよね。
・通える範囲に中小企業診断士の資格予備校がない。
・仕事が忙しくて、通学するための時間が取れない。
・受講料が高すぎて厳しい。
働きながら中小企業診断士の資格習得を目指すなら、通信講座を利用して学習することをおすすめします。
通信講座をおすすめする一番の理由は、
・スマホを使って通勤時間などのスキマ時間に学ぶことができる
ことです。
その他にも、教材の内容や受講時のサービス品質に優れ、コストパフォーマンスに優れた講座がある。
動画による通信講座が充実しているので、分かりやすいこともメリットです。
独学・通学・通信講座による学習方法の詳細については、次の記事が参考になります。
<独学>
cyushokigyoshindanshi.hatenablog.com
<通学>
cyushokigyoshindanshi.hatenablog.com
<通信講座>
cyushokigyoshindanshi.hatenablog.com
・中小企業診断士を最短で合格するためのポイント
中小企業診断士の試験は難易度が高いので、合格するまでの勉強時間は、1,000時間必要とされています。
この時間は合格に必要な勉強時間ということで、この時間勉強すれば合格するというものではありません。
一発合格を逃すと、さらに勉強時間がかさんでいくことは必須です。
・中小企業診断士試験を最短で合格するための勉強時間の目安については、こちらの記事も参考になります。
cyushokigyoshindanshi.hatenablog.com
このため、最短で合格するためのポイントを押さえ、計画的に努力することが大切になってきます。
中小企業診断士を最短で合格するためのポイントは、次の3つです。
・過去問、練習問題を何度も解く
テキストを理解してから過去問や練習問題に取りかかるのではなく、テキストの区切り毎に理解度を確かめる意味でも直ぐに問題を解いてみましょう。
テキストと過去問・練習問題を交互に使用することで、理解度を確かめながら学習を進めることができ、記憶も定着していきます。
・2次試験を意識しながら1次試験を勉強する。
1次試験に合格すると2次試験がすぐにきます。
1次試験はマークシート形式の解答ですが、2次試験は中小企業の診断及び助言に関する記述試験です。
2次試験と関係が深い4科目(企業経営理論、財務・会計、運営管理、情報システム)については、2次試験に出そうなところをノートにまとめながら進めておくことで、理解も深まり得点につながりやすくなります。
・スキマ時間を積極的に活用する。
働きながら中小企業診断士の資格取得を目指すとなると、いかに必要な勉強時間である1,000時間を作り出し集中するかが重要になってきます。
そのためには、通勤時間などの移動時間や昼休み時間などちょっとしたスキマ時間を積極的に活用しましょう。
その他にも、長期戦にはしっかりとした学習スケジュールも必要です。
★中小企業診断士を最短で合格するためのポイントについては、こちらの記事も参考になります。
cyushokigyoshindanshi.hatenablog.com
以上のような中小診断士試験に最短で合格するためのポイントを押さえるには、これらを取り込んでさらに効率的に学べるように工夫されている中小企業診断士の通信講座を選ぶことが一番いいと思います。
●定年後の独立開業、中小企業診断士の資格を取るために検討すべきことのまとめ
★中小企業診断士の資格は、経営、IT、経理など在職中に経験した専門分野の知識を活かして、定年後にコンサルティング業として独立開業が目指せる。
★中小企業診断士試験は誰でも受験できる国家資格であるが、難易度は高めなのでしっかりとした学習が必要、合格するまでの勉強時間は1,000時間
★働きながら中小企業診断士の資格を得るなら、通信講座がおすすめ。
最短で合格できるように教材の工夫や学習計画がされているので、効率的に学べる。